■産地状況
製織作業が全般に再開され、契約品においても入荷が進んでいます。生産者によっては古草から新草に変わったり、田圃違いから品種が変わったりとありますが、一部の生産者の声では、新草のみどり草やはるかの田圃となり「長さ選別してみると、思った以上に長い草の割合が少ない」との声が聞かれます。(通信8月号「2022年 新草収穫状況」)
今後の草質を考えますと、4月頃からは全般に早刈り田圃に移行していき、また「ひのみどり」「ひのはるかの」の作付け面積比も涼風に比べ少ない事から、良質な品物は早めの手当をしたいところです。(品種構成割合)
また速報値となりますが、今年度の熊本作付面積は 351ha(前年比 −29ha 、8%減)、農家戸数は 296戸(前年比 −23戸、7%減)となるようです。正式は発表は2月以降になると思われます。
■高品質な畳表を多く使われる店に共通する事について
春の産地研修(製織体験)に申込み頂きました畳店様には、誠にありがとうございます。2013年から産地研修を始め、今年で10年目となりますが、これまで何度もリピーターとしてご参加頂く畳店様もいらっしゃいます。
毎年のように、もしくは何度も産地に足を運ばれる畳店様に共通する傾向として見受けられる事に
- 品質の高い畳表を使った良い仕事をされている
- お店の規模に関係なく、年間を通して忙しくされている
ように感じます。また商談の際、施主への提案においても、畳表の生産者名で商品を勧めるのではなく、グレードや価格に見合う畳表の品質を第一として、勧めておられる傾向です。
何度も足を運ぶ事で、その年の草質の傾向や、品種による特性の違い、また最高級品から下級品までを見て、触り、肌で感じる事を積み重ねられて、自信を持ったご提案が出来ていらっしゃるように思います。
また、施主に品質の違いを分かり易く伝えるという点では、見本帳などのツールにおいても、よく考えられたオリジナルのものを用意されていらっしゃいます。
畳表の生産現場では、い草栽培から製織まで、それぞれの生産者の想いと、惜しみない手間を掛けて出来上がっており、この現場を知る事で、更に商品説明に深みが増すところが多々あると思います。
今回の産地研修を含めて、産地を訪問される際には、例えば「今回売っていきたい商品の生産者が、どんなこだわりや織りの技術で生産しているのか掴んで施主の提案に生かしたい」など、ぜひテーマを持って参加されると、今後のご提案や良い仕事に結びつくのではないでしょうか。