今年は8月は雨が多く、敷き込み後にカビの発生が多かったようです。カビ対策で成果をあげられている畳店様のご協力により、畳表カビ発生要因と対策を中心に納品後のお手入れ案をまとめてみました。
1、カビ対策は「3要素のうち1つでも排除」がポイント
畳表は有機質の草を使用していますから条件が整えば、どうしてもカビが生えます。それは生鮮食料品を空気中に放置したままにしておくと、すぐにカビが生えてくる事と原理的に変わりありません。また畳表は水分を吸収しやすいので、室内が湿気過多になり、不健康な状態になるとカビが生えてき ます。
カビは3要素(栄養・湿度・温度)で発生します。この要素のうち1つでも排除出来ればカビの抑制につながります。湿度70%以上、気温25℃から危険ゾーンです。特に1年目の青味のあるうちは、い草に栄養が多い状態ですので、梅雨の時期から気温の上がる夏にかけて、次の事を心がけると効果的です。
- エアコンで温度や湿度を下げる
- 1日に1回は部屋の換気を心がける(湿気が淀まないようにする)
- 部屋の掃除を心がける(カビ菌の栄養となるものを排除)
- 洗濯物の部屋干しは除湿機と併用するなど(湿度を下げる)
参考まで、弊社の産地研修で利用している和室は、様々な品種や生産者、1年目、2年目などの畳表を敷き込んでおり、研修時のみ使用する部屋です。
日常は窓は閉めっぱなしで使用しない部屋となっていますが、表替えをした1年目の梅雨時期もカビの発生は見られませんでした。
おそらく年に3回の研修時のみしか使わないため、カビ菌の栄養となるもの食べ物や小さなゴミなどがなかった事、また寝かせた畳表がほとんどであった事が考えらます。「3要素(栄養・湿度・温度)が揃わなかった?」
2、カビが生えてしまったら
部屋の換気をして、カビている箇所を乾燥させます。エアコンのドライ運転は効果的です。畳の目に沿って掃除機で吸い取るか、乾いた雑巾でカビを拭き取ります。エタノールなどの消毒剤も効果的です。その後は上記のカビの対策を心がけください。
(時に強い薬品を使われるのか、かえってその部分が変退色してしまう事があるようです。この点は注意したいものです。)
3、水をこぼした時
い草は植物です。水などこぼしたらただちに拭き取ってください。特に新しい畳表は部分的な変色の原因になります。
4、折り目について
新しい畳表には、時に折り目が目に付くことがあります。地厚な良質品ほど出がちです。この折り目は使っている間に自然に消えます。
(折り目対策は各畳店様により色々あると思います。本間麻綿Wの最高級品(2.8-2.9kg)を多く扱われ、梱包においては通常の折りで、梱包時注意事項で「巻かないように」という店もあります。このような状態で折り目対策はどうされているのか?産地研修においてご紹介したいと思います。)
5、退色と品質の関係
敷き込んだ当初はい草の葉緑素で青味がありますが、半年から1年もすると飴色に変わります。「青味がなくなる事(葉緑素が分解する事)=品質の劣化」と思われがちですが、退色と畳表の品質はほとんど関係がなく、実入りの良い新芽中心のい草で織った製品は葉緑素が分解しても、草の繊維は長く良い状態で保たれます。ただ品質に応じて一定期間を過ぎますと品質の劣化が始まり、皮向けなどが取替の目安です。
工業製品などは使うほど品質が劣化してきますが、天然い草は使うほどにツヤがでて飴色に変わっていき、この変化を楽しむ事ができます。お手入れをして快適な空間をお楽しみください。
以上、カビ対策として、このような内容で納品時に説明され、説明書を置いていかれる店では、今年も「問い合わせはあったけど、クレームとしてはゼロでした」ということでした。このような店のご協力を得まして、以上のカビ対策を中心にまとめさせて頂きました。
ご意見や、それでも困ったという声がありましたらお聞かせください。
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