通信6-7月号でカビ対策を特集しましたが環境の違いもあり、そのまま取り入れる事は無理もあるかと思います。また8月になっても一部で施主からカビの件で問い合わせがあったとの事で、もう少し役立つ情報はないかと、この件でい草や湿度などに詳しい方にご意見を求めましたところ、いくつかの事例をお話し頂きました。そこで過去の事例とともに、新たにご紹介したいと思います。
まず通信6月号では昔のNHKのカビ対策特集番組で雨の中でも窓を開けて風を通す屋久島での例、通信7月号では私の家(松永)の例を紹介しましたが、一般には少ない事例でもありまだ説得力に欠けるものかもしれません。
梅雨時期は部屋の中の湿度より外気の湿度が高い感覚であり、それを取り込むのは湿度が高まるだけでカビ対策には逆効果と思われるのが一般的と思います。
締め切った部屋にクーラーや除湿機、扇風機などで空気が淀まないようにすれば良いのですが、1日の大半をそのような対策をとれるところは少なく、これが原因でカビ発生に結びついているように思います。
「窓を開けて、こまめな掃除をすればカビは発生しない」という経験から雨でも窓を開けて換気していますが、人に話すと「特殊な例だね」「うちの地域では通用しない」という反応で、そうなのかもしれません。
私の感覚では、窓を締め切った部屋の畳表の表面湿度は、外気の湿度より高いような感覚です。何も計測している訳ではなく感覚的なものです。い草は湿度を吸い込むので、締め切った部屋は仮に湿度が外気より低くても、い草は相当な湿度を持っている感覚になります。締め切った部屋に人がいて、息苦しさを感じるほどであれば、い草も同じであり、換気をして気持ちいいのであればい草も気持ちいいような気がします。毎日入浴してさっぱりするように、こまめな掃除はい草には良いはず。ポイントは人が快適と感じる室内環境に調整すれば、カビは発生しにくいのではないかと感じています。
これは畳表の在庫の保管においても同じ事が言えると思います。
この事を詳しい方に相談したところ、この窓を開ける事例は理にかなっていると肯定され「風には水分(湿気)を飛ばす効果がある」として、主に2点事例をあげられました。
1、「洗濯物は曇りの日でも風に当てる事で乾く」
普通は太陽の日やコインランドリーのように高温で乾かすものという感覚ですが、水分を飛ばすのは熱だけでなく、風でも飛ばすという1つの事例です。
ちなみに、お話しを頂いた方の浴室は「新築した時、換気扇はあえて設置せず自然換気の構造にする事でカビはこない」との事でした。お湯の蒸気は上昇する空気の流れをつくります。そこで天井を斜めにして、それに沿った窓を付け、構造的に風の流れをつくっている」という事でした。
2、「お米の乾燥は高温で乾燥させると味が落ちるため、30〜35℃以下の温度(または常温)にして、風で乾燥させる」
との事例を紹介頂きました。米の乾燥はいくつかのパターンがあるのかもしれませんが、「風は湿気を飛ばす」原理を知っているので、このような乾燥システムになっているのだと思います。
住宅環境や生活スタイルの違いから、一概に通用する事ではないかもしれませんが、「風は湿気を飛ばす」事は、施主様が困られた時や、納品時の説明の中に取り入れられれば、カビで困る人が減ることにつながるかもしれません。 ご参考になれば幸いです。
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