自らの本質(安心・安全・高品質)を研ぎ澄ます

 製品に対しての技術的な講習会などは、これまでも行われてきましたが、トヨタ自動車にある「モノづくりは人づくり」という視点が必要に思います。

「誰かの為に」という想いを持ってモノづくりをすることであったり、基本的な価値観を共有します。

また技術的な講習会や、買い手、売り手の、お互いの視点を共有することも行います。

 

基本的な価値観とは

「厳しい」と言われる熊本産地の状況を良くする基本は、良い考え方、価値観を持つことから始まると思います。

 

 身近なスポーツチーム、職場、例えば自動車会社や家電の会社などで、仮に「誰が悪い、彼が悪い」と言っていたら、やがて姿を消してしまいます。そう思うのではなく、

 ・「自分たちで解決していこう」

 ・「自分たちが作り出す価値を世の中の役に立つよう提案していこう」

という姿勢が大切です。以下の価値観を共有し、産地全体に広めていきます。

自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ

リクルート創業者 江副浩正
リクルート創業者 江副浩正

  リクルート創業者 江副浩正の言葉に、「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」とあります。「業界が悪い、不景気だ」「誰が悪い」などと業績が悪いことを周りのせいにしてはいけません。原因を自分の思いに目を向けましょう。火から風が起きるように、物事は内側から外にという原則があります(易経)。事業を行う視野を広く持ち、社会や人に役立つモノづくりを行い、可能性にチャレンジし人並み以上の努力をしましょう。これによって、「明るい将来像を描ける自分になるよう、自らを変えよ。」と考えましょう。

徳と富について(「生財」と題された西郷の文章)

西郷隆盛(1828年 - 1877年)
西郷隆盛(1828年 - 1877年)

「中国の歴史書「春秋」を解釈した「春秋左氏伝」にこうある。

徳は結果的に富をもたらす源である。

徳が多ければ富はおのずとやってくる。徳が少なくなれば、それに応じて富も減る。・・(略)・・

度量の小さい人は自分だけが得をしようとし、度量の大きい人はみんなが得するように計らう。前者はその利己心によって滅び、後者は公の精神によって栄える。自分の人生をどう生きるかで、盛衰、貧富、興廃、生死が分かれる。だから、常に心すべきではないだろうか。

(内村鑑三・著「代表的日本人」より)

(コメント:マザーテレサの「思考に気をつけなさい」と同じ)

 

・・(略)・・

徳に励む者には、財は求めなくても生じる。したがって、世の人が損と呼ぶものは損ではなく、得と呼ぶものは得ではない。・・(略)・・

これはみな、賢者が、徳と財との正しい関係を知り、結果でなく原因を求めるからである。

(二宮尊徳の、「なすべきことは、その結果に関係なく、なさねばなりません」と同じ)

富とは常に、徳の結果もたらされるもの(上杉鷹山)

上杉鷹山(1751年 - 1822年)
上杉鷹山(1751年 - 1822年)

「東洋思想の美点のひとつに、経済を道徳と必ず関連づけて論じたことがあげられます。東洋の思想家にとって、富とは常に、徳の結果もたらされるものであり、その関係は、実と木の関係と同じなのです」

・・(略)・・

「したがって、徳の高い人は、木のことを熱心に考えて実を得る。小人は、実のことばかり考えて実を得ることができない」

鷹山が行った様々な産業改革の中でも、特に素晴らしい点はここにあります。まず目指したのは、人々に徳を身につけさせることでした。

(「代表的日本人:社会及び道徳の改革」より)

なすべきことは、その結果に関係なく、なさねばなりません(二宮尊徳)

二宮尊徳(1787年 - 1856年)
二宮尊徳(1787年 - 1856年)

 補助金の支給や年貢の免除は、苦しんでいる人々を救うのに何の役にも立ちません。

それどころか、救済する鍵のひとつは、金銭支援を一切やめることにあります。

このような支援は、強欲や怠惰を引き起こすばかりで、村人のあいだに不和をもたらす種です。

荒れ地は荒れ地そのものの地力で開くもの、貧困はそれ自体がそこから抜け出せるようにできているものです。

・・(略)・・

仁愛、勤勉、自助、このような徳を徹底して行うところに、この三つの村の希望があります。

 (小田原藩主への報告書より)

 

・「きゅうりを植えたら、きゅうり以外のものを期待してはいけません。植えたものしか収穫できないのです」

・「誠意だけが禍を福に変えることができます。駆け引きやはかりごとは役に立ちません」

(「禍福門なし、ただ人の招くところなりけり」『春秋左氏伝』より)

・「人ひとりは宇宙では限りなくちっぽけな存在ですが、その誠意は天地をも動かすことができるのです」

・「なすべきことは、その結果に関係なく、なさねばなりません

思考に気をつけなさい(マザーテレサ)

マザーテレサ(1910年 - 1997年)
マザーテレサ(1910年 - 1997年)

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。

言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。

行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。

習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。

性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。

新しき計画の成就は、ただ不屈不撓(ふとう)の一心にあり (中村天風)

「新しき計画の成就は、ただ不屈不撓(ふとう)の一心にあり。さらばひたむきにただ想え。気高く強く一筋に」

中村天風(1876年7月30日 - 1968年12月1日)

 影響を受けた人々は、東郷平八郎、原敬、北村西望、宇野千代、双葉山、広岡達朗などで、実業界では松下幸之助、稲盛和夫などである。近くは、松岡修造や大谷翔平などがいる

中村天風

中村天風(1876年7月30日 - 1968年12月1日)
中村天風(1876年7月30日 - 1968年12月1日)

天風氏は特に言葉の使い方を力説し、ネガティブな言葉(「困った」「弱った」「情けない」「悲しい」「腹が立つ」)といった言葉を厳しく戒めます。

大谷翔平
大谷翔平

「25歳未満でメジャー挑戦をすれば良い契約はできないが、金より夢が大切なんだ」「契約金も安ければ、年俸もかなり安くなる。そういうことを事前に把握しての勇気あるメジャー挑戦だと思う。」などと評された。



稲盛和夫(1932年ー2022年)
稲盛和夫(1932年ー2022年)

 新しい計画を立てて成功させたい、自分が思っている「思い」を実現したいと思うのならば、不屈不撓(ふとう)の一心、つまり「どんな事があっても決して諦めない心」で必死の努力をしなければなりません。他の事は何も考えないで、自分はこうしたいという一点に「思い」を定めて、ひたむきに思いを続けなさい。それも気高く強い心、純粋で美しい心で、一直線に思いを続けなさい。そうすれば成功しないものはない。(解説:稲盛和夫

後継者育成の会の役割について

自らの本質(安心・安全・高品質)をつかんで研ぎ澄まし、きちんと伝える。これを熊本産地で実現する組織をつくり、「熊本産地に元気を取り戻す」これがこの会の役割です。