今回出版された「日本の未来は畳が拓く」という本を読み、「機械すき和紙畳表」について詳細な情報が掲載されており、改めて更に詳しく調べてみました。ネットでの情報ですので、もし違うところがあればご指摘ください。
和紙の定義について、JIS 6113では『我が国で発展してきた特有の紙の総称。手すき和紙と機械すき和紙とに分類される。本来は,靭(じん)皮繊維にねりを用い,手すき法によって製造された紙。現在では化学パルプを用い,機械すき法によるものが多 い』とされています。
ここで言う「靭(じん)皮繊維」とは、JISでは、No1007「主 に双子葉植物の内皮から採取した繊維。 参考 こうぞ、みつまた、がんぴ、亜麻、大麻などの 繊維がこれに属し,主に和紙の原料としている」となっています。
また「化学パルプ」とは、「化学薬品を使って木材からリグニンなどを除き、セルロースを取り出したパルプ。 用いる薬品により、亜硫酸パルプ・ソーダパルプ・硫酸塩パルプなどがある。」となっています。
一方で、和紙の定義についてネットで検索すると、
「国産の和紙原料100%を使って、薬品など使わず(靭皮繊維を傷めずに)手漉き・機械漉きされた紙のこと」
「和紙の定義は捉え方や考え方によって人それぞれ異なります。」などと記載されています。
また、和紙と洋紙について、「現在、一般的な紙は和紙と区別して「洋紙」と呼ばれ、これは主に針葉樹・広葉樹などの木材の “幹"を砕いたパルプを原料としますが、 和紙は多年生植物の葉・茎の長繊維だけを使うのが特徴。
コウゾやミツマタなどの皮は繊維が長く、 絡み合う性質が強いため丈夫な紙となる。 それが和紙ならではの特性」
また、洋紙が 「木材パルプ(短繊維) を薬剤で固めて作る」のに対し、和紙は「長繊維を絡めて作る。」などと記載されています。
(繊維の長さについての参考サイトはこちらです)
このような定義であれば、「機械すき和紙」と「洋紙」の違いとは何だろう?JISによれば「洋紙」も「機械すき和紙」と呼べるものか?という疑問にたどり着きました。
表面は樹脂 (消費者は知って買っているのでしょうか?)
また、この「日本の未来は畳が拓く」にも記載してありますが、「機械すき和紙畳表」の表面は樹脂で覆われていますが、「消費者はこの事を知って購入されているのだろうか?」という疑問も改めて思うところです。本のサイトのコメントを見ると、「知らなかった」という印象が伺えます。
熊本県藺製品卸商業協同組合が2021年にネット上で行った、全国の畳店向けに「自宅に畳を敷くなら い草ですか?化学畳表ですか?」というアンケート結果にあるように、両方の素材を熟知している人は、86%がい草を選ぶという結果になっていますが、売り手と買い手の情報格差が同じになると、消費者の購買もこのような結果に近くなると思います。
著者の小島氏は、これまでも月刊『致知』、月刊『正論』、共同通信、西日本新聞はじめ、30を超える新聞、雑誌、ネットメディアで取材され、現在も設計士や工務店のグループ、倫理法人会はじめ、多方面で講演活動をなされておられます。
この講演活動に加え、「日本の未来は畳が拓く」という本が世の中に広まれば、より本物が評価され、国産い草は、更に社会から評価されることにつながると期待します。
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